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もっと知りたいインドネシア<水道・水環境>


「インドネシアの水道に関する情報提供シリーズ」の中間とりまとめについて JISCOWAPINDO事務局

 JISCOWAPINDOでは、インドネシアの水道に関する情報の収集に努めており、ウエブサイトを通じて会員各位との情報の共有を図ってきた。この資料は小島高志幹事並びに会員の田所孝生氏及び増岡俊生氏によって、日本語「インドネシア AND 水道」、「インドネシア AND 水環境」及び英語「Indonesia Water Supply」のキーワードを用いてインターネットで検索し収集した記事の中から、参考になりそうな最新のものをピックアップして要約を作成したものである。2018年4月からウエブサイトへの連載が始まり、2020年4月までの2年間余(25回)で合計130編の情報を掲載した。

 インドネシアを考えるとき、前提としてその国土の特徴や人口及び経済の発展について知っておかなければならない。インドネシアの国土は、赤道にまたがる1万3,466もの大小の島により構成され、東西5,110kmにまたがり、また世界最多の島嶼を抱える国家(島国)である。
1945年の独立時から今日に至る75年の間に、インドネシアは大きな成長を遂げた。独立時の人口は4,500万人だったが、1970年までに1億人に増加した。さらにその後の30年間で、この数字は2倍以上に増え、2010年には2億3800万人に達した。2000〜2010年の期間の増加率は1.49%だった。現在の人口は2億6,400万人を超える世界第4位の規模を示している。

 経済成長は力強く、1998/99年のアジア金融危機の政治的変化と経済的課題の存在、および人口の増加にもかかわらず、一人当たりの国内総生産(GDP)は2002年の2,952ドルから2008年には4,394ドルに上昇し、6年間でほぼ50%増を示した。(2018年値は3,893 USD) また、ほとんどのアジア諸国と同様に、都市部での経済活動の増加がインドネシアの経済成長を牽引してきた。 これにより、農村部から都市部への大規模な移動が発生し、この急速な都市化により、都市人口は1990年から2010年にかけて5,600万人から約1億2,800万人に倍増した。 現在の人口の80%以上が住んでいるジャワ島とスマトラ島の2つの主要な島の都市部の水資源へのストレスは特に高いものがある。水の需要が大幅に増加した結果、水の需要は供給の自然な利用可能性を超えている。同様に、汚染、景観の侵食、地下水への被害などの問題が増大している。(ADB2012年データをWikipediaで補完)

 したがって、インドネシアを考えるためには、複眼的な視点から幅広くインドネシアをとらえる必要がある。「インドネシアの水道に関する情報提供シリーズ」で取り扱った記事のうち、75編がいずれかの地域情報を含んでいる。そのうち24編がジャカルタに関する内容を取り上げており、その他ではバンドン、メダン、スマラン、タンゲラン、ボゴールなどの都市もカバーし、バリ島、カリマンタン島やスラウェシ島にも広がっている。チタルム川の水質汚濁やトバ湖の課題についても取り上げているし、ジャカルタにおける水道の再公営化問題や首都移転問題など、最近注目を集めている課題はもちろん、水道事業の経営主体であるPDAMの現状と課題やジャカルタの地盤沈下の原因や現状、インフラ整備の国家予算や国際援助機関のプロジェクト予算などについても取り上げている。
このように、130編の情報は幅広い分野に及んでいるが、さらにその出典(URLでリンクが張られているものが多数)にまで視野を広げると、インドネシアにおける課題の奥の深さが見えてくる。

 ここでは、これらの情報の中から、いくつかのテーマごとにまとめてご紹介したい。
(1)ジャカルタの水道の民営化から再公営化に至る経過
(2)インドネシアの首都移転の決定と背景
(3)ジャカルタの地盤沈下問題
(4)ジャカルタにおける水利用の現状
(5)チタラム川の水質汚濁と対応
(6)渇水・水不足問題
(7)世界から向けられるインドネシアへの関心
(8)PDAMの現状と課題
(9)インフラ整備の国家予算や国際援助機関のプロジェクト予算
(10)  浄水器の需要
(11) プラスチック管の市場
(12)  その他の話題

編集後記

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