海外水ビジネス研究会

海外水ビジネス研究会について


どの組織からの制約もない私的な勉強会として2017年に発足
海外水ビジネス研究会は、日本の海外水ビジネス(輸出、海外投資)を活性化するための現状認識の共有化や展開方策の具体的検討をおこなうため、どの組織からの制約もない私的な勉強会として企画され、水道の専門家と国際金融・貿易・海外投資の専門家が同じ場に集まり、お互いの経験を共有して議論をすることに特徴を持って2017年7月にスタートしました。その後2018年6月には中間報告会を、2019年7月には提言報告会をいずれも東洋大学を会場にして開催しました。併せて、名古屋、京都、神戸でも報告講演会を開催するとともに、東洋大学の授業に講師派遣もしました。

当初は、日本からの海外水ビジネスを成功に導く方策の検討が中心
本研究会の発足(2017年7月)から、東洋大学での中間報告会を経て、水の安全保障戦略機構の行動チームになった時点(2018年12月)ごろまで、本会は「日本からの海外水ビジネスを成功に導く方策」をテーマとして、解決の手法としては「海外水ビジネスPPPストラクチャーモデルのケーススタディ化、具体化(特に金融、資金調達を重視)」に重点を置き、対象地域は、「中国、インドネシア、ベトナム、フィリピン等アジア中心」にするというイメージで活動していました。
こうしたイメージ形成の背景として、課題がこれまで解決されなかった原因や現状の問題点については、次のような認識をしていました。
@上下水道の運営ノウハウのある上下水道事業体が地方公営企業法の制約もあり、海外ビジネスに参画してきていない(海外はODAの技術協力程度)。
A水に係る監督官庁が厚生労働省、国土交通省、経済産業省、農林水産省、環境省に分かれており、まとまった政策が打ち出しにくかった(経済協力インフラ戦略会議で、初めてまとまりが出てきたようにも思えるが水ビジネスがインフラ投資として海外で成功しうるのかの踏み込みは不十分に思える)。
B日本の貿易・海外投資の中心である商社は、海外水ビジネスにも参画している(海外では水ビジネスの日本のプレーヤーは商社だと思っている事業者もいる)が、商社内で海外水ビジネスは、事業性・経済性の理由から、中核分野にまで育っていないと言える。
C日本の水ビジネスに係る技術は高度でも、国際的な汎用性に乏しい。
D以上から、日本では海外水メジャーに伍していく企業が十分育っていない。

Zoomを活用した開催方式を導入
2021年6月には研究会有志と外部協力者の共同執筆により「海外水ビジネス戦略」(日本水道新聞社)を出版しましたが、その間に新型コロナウイルス問題が勃発し、その影響が瞬く間に世界に広がったことにより、研究会活動も甚大な影響を受けました。会議室における毎月の定例会開催は2020年2月を以って中断を余儀なくされ、新型コロナウイルス対策の特別措置法による「緊急事態宣言」の発令、感染再拡大の度重なる到来の中で質の高い研究活動の(3月と4月は幹事会での)模索状態が続きました。一方、withコロナ時代にテレワークの導入が進んだことから、2020年5月からはzoomを活用した開催方式(準定例会)を導入し、感染拡大下での会議室開催の困難さを克服して活動を再開しました。この方式の導入は、参加者が従来は東京及び近辺在住者に限られていた制約を克服し、まさにリモートワークのメリットを研究会活動にも導入する成果をもたらしました。また、出版に至る過程で検討事項の若干の追加・修正もありました。例えば、出版した本には、日本企業の海外水ビジネスへの取り組み事例に加えて、ベトナムPPP法の翻訳や解説が盛り込まれ、更に、研究会では、東京都上下水道とニューヨーク上下水道システムの比較という新たな試みにも取り組みました

2019年以降継続して水道公論誌上で連載
水道公論誌上で連載中のテーマ物「海外水ビジネスの要点を探る」及びコラム「海外水ビジネスの眼」(更に最近では、随時、公論交差点コーナーも)は、日本水道新聞社のご厚意により、海外水ビジネス研究会の中間報告会の概要を2018年9月〜12月に誌上で報告したことがきっかけとなり、2019年1月以降継続して掲載しているものです。研究会の活動(会議室、zoomを含む)と水道公論誌上での発表は密接に関係しており、活動の成果をまとめあげるとともに広く知っていただくために役立ってきました。(これまでの掲載記事の題名は、こちらを御覧ください)

次の世代に繋げるために3つの柱にテーマを展開
2021年7月以降、研究会では、活動の今後のテーマ及び体制について話し合いの機会を重ね、その結果、(2017年の研究会発足時点ではとりあえず2年間の活動を行うこととしていたものを)2022年1月から1年間の活動延長を行うことに変更しました。これに伴い、共同代表及び幹事の体制を増強しました。
実は、その間に行った議論では、今後の選択肢には「活動の終了」も含まれていました。しかし、せっかく4年以上にわたって続けてきた研究会の活動を単純に終わらせてしまうのではなく、継続的観点から、成果を次の展開に発展的につなげる方向を1年間探って行こうということに落ち着きました。その主な理由は、研究会の議論を次の世代に繋げるための整理の時間がもう少し必要だと考えたからです。
こうした観点から、活動テーマとしては、@海外水ビジネス研究会の当初からの立脚点(技術系と金融系の双方の立場からの水道〔下水道の観点もできればあわせて、以下同じ。]への着目と海外における日本のインフラ投資の一環としての水ビジネスの推進のためのプロジェクトフォーメーションを基本としつつ、A地球規模の緊急課題としての気候変動等地球規模問題との関わりの追求、B経済の流れから欠かせない環境会計(むしろ非財務情報全般に拡げる)や世間の関心の高まりがあるDX・GXなどを含めて将来の技術革新につなげるための情報収集(これには、海外の水ビジネスからヒントを得るための情報収集を含む。)の3つを柱としつつ、いずれにおいても日本の水ビジネスを事業性、経済性のあるものにできるのかを意識して検討・整理することに力を入れて行こうという方向を打ち出しました。
併せて、「ベトナム以外のアジア主要国の法制度(PPP法制など)」と「資本主義における水道事業・下水道事業の位置づけをどう考えるか」についても、テーマとして追加しました。さらに、来年2023年からは、厚生労働省水道課業務の移管(2024年度予定)に伴う上下水道一体となった海外水ビジネスのあり方についてもできれば検討テーマにしていきたいと考えています。
 水道における上記の3つの活動テーマについて、毎月1回の東京都内の会議室(市ヶ谷の水道会館など)での定例会(2時間)か準定例会(毎月1回のzoom会議(1時間半))によるテーマごとの発表と討議を基本とし、その内容を踏まえた活動報告の水道公論への執筆をセットにして進めています。コロナの状況をみながら、都心に集まっての定例会への切り替えやzoomの併用も行っています。

研究会活動の継続と発展に向けて
当初は2年間の私的な勉強会活動を行う予定だった本会が、成果を出版物として世に問うところまで発展できたことは想定外の成果でした。こうした成果をもとに、研究会活動の今後の継続や発展につなげるためには、上下水道分野の将来を担う世代の参加が不可欠です。一方、若手の積極的な参加と研究会で取り上げるテーマとは密接な関係があり、さらには上下水道業界の将来に対する魅力を若手の方々がどのように考えるかということもテーマの選定・分析・検討のうえで、念頭に置く必要があります。こうした、次世代への架け橋づくりは、私達の研究会が果たすべき役割ではないかと考え、若手の方々には、@まずはZoom会議に参加し、次にA質問や意見発表によって会議に貢献し、そして先々にはB会議の中でテーマに沿った発表をしていただくことを期待しています(当面、毎月定例会の案内を、メンバーへの案内とは別にJAPAN-YWPと水環境懇話会との窓口となる幹事の方々にお送りさせていただいています)。研究会活動の継続と発展に向けての検討は、現在も継続中です。
 なお、水道公論誌上で連載中のテーマ物「海外水ビジネスの要点を探る」及びコラム「海外水ビジネスの眼」(随時、公論交差点コーナー)は、当面継続して参ります。
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